宗教法人は、「収益事業」には法人税が課税されます。収益事業に当たるかは微妙な部分があるので、具体的な事例で解説していきます。
法人税基本通達15-1-10は、宗教法人の物品販売業について、「宗教法人におけるお守り、お札、おみくじ等の販売のように、その売価と仕入原価との関係からみてその差額が通常の物品販売業における売買利潤ではなく実質は喜捨金と認められる場合のその販売は、物品販売業に該当しないものとする。ただし、宗教法人以外の者が、一般の物品販売業として販売できる性質を有するもの(たとえば、絵葉書、写真帳、暦、線香、ろうそく、供花等)をこれらの一般の物品販売業者とおおむね同様の価格で参詣人等に販売している場合のその販売は、物品販売業に該当する」と規定しています。
例えば、お守り、お札、おみくじなどを檀信徒に頒布するときは、その原価から見て高額な売価であったとき(10円で仕入れたお札を500円で頒布する等)は、収益事業である物品販売業ではなく、宗教活動の一環であるため、法人税が課されませんが、売価が一般の物品販売業者がなすものと同程度の金額であったときは、たとえ、販売する物に寺院を表徴するような文字・図画があったとしても、物品販売業として法人税が課税されます。
宿泊施設を備えて、檀信徒や参詣人を宿泊させる寺院もあるでしょう。
これが、収益事業である旅館業に該当するか否かについて、法人税基本通達15-1-39は、「令第5条第1項第15号《旅館業》の旅館業には、下宿営業のほか、旅館業法による旅館業の許可を受けないで宿泊させ、宿泊料を受ける事業が含まれる。
したがって、例えば宗教法人が宿泊施設を有し、信者又は参詣人を宿泊させて宿泊料を受けるような行為も…旅館業に該当する」と規定しています。
すなわち、旅館業法による旅館業の許可を受けていなくても、宿泊の対価を得ていれば、旅館業にあたります。
ただし、寺院の宗教活動の遂行に関連して利用される簡易な宿泊施設で、檀信徒から受ける宿泊料の額がすべての利用者につき1泊1000円(食事を提供するものについては、2食付きで1500円)以下である場合は、旅館業に該当しないとされています。
宗教法人が、檀信徒に対して墳墓地を貸し付けることは、たとえ、永代使用料を徴収していたとしても、収益事業たる不動産貸付業には該当しません。
ただし、墳墓地とは、墓埋法の適用されるものを指し、動物霊園の場合は、収益事業である倉庫業に該当するとされていますので、ご注意ください。
また、墳墓地の貸付けという形をとらずに、それぞれの区画に応じて利用者に所有権を移転する分譲の場合には、不動産販売業に該当しますので注意してください。
墓地の管理のために管理料を取る場合が多いですが、管理料を取ることは、請負業として、収益事業にあたるとされています。
ただし、収受した管理料が、実際の維持管理費に満たないときは、課税されないとする扱いをとる場合もあるようです。
寺院が茶道教室、生花教室等を開設し、茶道、生花等特定の技芸を教授する事業は、技芸教授業に該当します。技芸教授業の対象となる技芸は、法人税法施行令5条1項30号に規定されています(洋裁、和裁、着物着付け、編物、手芸、料理、理容、美容、茶道、生花、演劇、演芸、舞踊、舞踏、音楽、絵画、書道、写真、工芸、デザイン、自動車操縦もしくは小型船舶の操縦)。
規定外の技芸教授は、収益事業には該当しません。したがって、そろばん、簿記、英会話等の教授は収益事業ではありません。
寺院が境内地の一部を時間極め等で不特定または多数の者に随時駐車させるもののほか、月極め等で相当期間にわたり継続して同一人に駐車場所を提供する事業は、駐車場業に該当します。
対価の名目が、駐車場代でなく、お礼・整理料・管理費であったとしても、実質的に駐車の対価とされる場合は、駐車場業に該当します。駐車場業には、駐車場に適する土地を一括して貸し付ける事業も同様に取り扱われます。
なお、駐輪場の貸付は、倉庫業に該当するとされています(法人税基本通達15-1-26)。