墓地管理料の不払いに対する対応

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墓地管理料と民法の規定

墓地管理料として毎年1万円ないし3万円を墓地使用者から徴収している寺院が多いようです。墓地の管理料も含めた寺院運営のための費用として護持会費を檀信徒より徴収している寺院もまま見受けられます。

しかしながら、墓地管理料の未納者の割合が増え、頭を悩まされている住職の声をよく聞きます。管理料は墓地使用者1件1件の額は低額ですが、墓地管理料の未納件数が増えれば、必要な経費を賄えず墓地経営が行き詰まってしまいます。

ここでは、墓地管理料不払いに対する具体的な対応について解説していきます。墓地管理料不払いに対しては、①任意の支払いを求める段階、②法的措置を用いる段階と柔から剛へとステップを踏んで対応するのがキーポイントです。

墓地管理料は、年によって定めた金銭を目的とする債権ですので、5年の消滅時効が適用されます。

墓地管理料未払いを放置していると、5年の時効で消滅することになりますので、墓地管理料の債権管理をきちんとする必要があります。

なお、改正後の民法下では墓地管理料の消滅時効は権利を行使することを知った時から5年です。

任意の支払いを求める段階

墓地管理料の徴収状況を整理して誰がどの程度墓地管理料を支払っていないかを把握しておくのが、墓地管理料不払い対応の第一歩です。

墓地管理料の徴収状況について正確に整理していない寺院が往々にして見受けられますので、必ず、エクセル等で墓地管理料徴収表を作成するなどして墓地管理料徴収状況を正確に把握しておくべきです。

墓地管理徴収状況を正確に把握したら、墓地管理料未納者に対して、封書で墓地管理料が未納であり、速やかに墓地管理料未納分を支払って欲しいと通知します。この段階では、普通郵便で出して構いません。

墓地管理料納入のお願い通知書雛形

墓地管理料納入のお願い令和○年○月○日○○ ○○ 様宗教法人「○○寺」代表役員 ○○ ○○

拝啓○○の候(季節の挨拶)、○○様におかれましてはますますのご清祥のこととお慶び申し上げます。

平素は、当寺の護持にご尽力とご支援を賜り、深く感謝しております。さて、平成○年度の墓地管理料○万円について、○○様からのご納付を確認できておりません。

何かとご多用中とは存じますが、墓地管理料を当寺にご持参していただくかもしくは当寺の銀行口座にお振込みいただけますようお願い申し上げます。

銀行口座については既にお知らせしておりますが、念のため、下記に再掲させていただきます。記○○銀行 ○○支店普通預金 ○○○○○(口座番号)宗教法人○○寺

なお、ご納付が本状と行き違いになっておりましたら、何とぞご容赦のほどお願い致します。

敬具 通知書を出して2週間程度待っても墓地管理料の納付が確認できないときは、墓地使用者に対して電話をかけて、納付の意向について確認します。それでも、納付がなされないときは、内容証明郵便を送ります。

催告書雛形

催告書令和○年○月○日○○ ○○ 様宗教法人「○○寺」代表役員 ○○ ○○

  1. 貴殿は、当寺の再三の催告にもかかわらず、平成○年度ないし平成○年度の合計○年度分の墓地管理料○万円を未だお支払いいただいていません
  2. 速やかに未納となっている墓地管理料を持参または送金においてもお支払いいただくようお願いいたします

本通知到達後10日以内にお支払いが確認できないときは、当寺墓地管理規則○条に基づき、当寺と貴殿との間の墓地使用契約を解除するとともに、法的措置を講じざるを得ませんので、ご承知おきしていただくようお願い致します

法的措置を用いる段階

内容証明郵便の送付などの手段を講じても任意の支払いが見られないときは、やむなく法的措置に移行せざるを得ません。

墓地管理料の支払いを求める法的措置としては①民事調停、②支払督促、③少額訴訟、④通常訴訟が考えられます。

民事調停は、裁判所を間に挟んだ話し合いです。調停では、合意に達しないときは、不成立となります。民事調停は主に簡易裁判所で行われます。

支払督促は、裁判所を通じて金銭債権の弁済の催促することをいいます。支払督促も簡易裁判所で行われます。支払督促を2回したにもかかわらず、債務者が異議を出さなかったときは、債権者は、債務者に対して、強制執行を行うことができます。

少額訴訟は、60万円以下の金銭債権について、1回の期日で判決まで行われるという手続です。少額訴訟も簡易裁判所で行われます。スピード解決が図れるのが最大のメリットです。

通常訴訟は、手形小切手訴訟、少額訴訟、人事訴訟、行政事件訴訟といった特殊なものではない、民事訴訟法の原則的規定に従った通常の訴訟のことをいいます。

訴額によって担当裁判所が異なり、訴額が140万円以下の場合は、簡易裁判所が、140万円を超えるときは、地方裁判所が担当します。前三者とは異なり、専門的な知識が必要となりますので、場合によっては弁護士に依頼したほうがよいでしょう。


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