宗教法人の財産は、特別財産、基本財産、普通財産の3つに分けられます。
特別財産とは、本尊などのその宗教法人にとってかけがえのない宝物や、宗教活動に欠くことのできない重要な器具類である什器などのうちから設定されます。
基本財産とは、宗教活動を行っていくうえで必要な財産的基礎となるもので、境内地、境内建物などの不動産のうちから、また、確実な有価証券などをこれに設定します。
普通財産とは、特別財産、基本財産以外の資産をいいます。
宗教法人の財産は、信者等の浄財により形成されたものが多く、また礼拝の施設をはじめとして、宗教活動と密接に結びついているものが多いので、宗教法人法は宗教法人の財産の管理及び運用に関して、特別の規定をおいています。
すなわち、宗教法人法23条においては、宗教法人が次のような行為をする場合には、一定の手続きを踏む旨が規定されています。
①不動産または財産目録に掲げる宝物を処分し、または担保に供すること
②借入(当該会計年度内の収入で償還する一時の借入を除く)または保証すること
③主要な境内建物の新築、改築、増築、移築、除却または著しい模様替えをすること
④境内地の著しい模様替えをすること
⑤主要な境内建物の用途もしくは境内地の用途を変更し、またはこれらを宗教法人法2条に規定する目的以外の目的のために供すること
それでは、宗教法人法23条の一定の手続きとは、一体どのような手続きなのでしょうか。宗教法人法23条は、同条1号から5号の行為を行うにあたっては、①規則で定める手続きと、②公告が必要となります。
財産に関する事項(基本財産、宝物その他の財産の設定、管理および処分に関する事項)は規則記載事項となっています。
宗教法人までの行為を行うにあたっては、規則所定の手続きを行わなければなりません。被包括宗教法人である寺院の場合、重要な財産の処分にあたって、責任役員会決議の他に総代会の同意が必要であったり 、包括宗教法人(宗派)の同意が必要とされている場合が多いです。
公告とは、宗教法人の運営において重要な行為について、適切な方法により、信者その他の利害関係人にその旨を周知することを定めたものです。規則で定めた手続きを経た後、宗教法人は、それぞれの行為の少なくとも1か月前に、信者その他の利害関係人に対し、その行為の要旨を示してその旨を公告しなければなりません。
宗教法人法23条の一定の手続きが行われなかった場合、宗教法人法24条では、「宗教法人の境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物について、前条の規定に違反した行為は、無効とする。但し、善意の相手方又は第三者に対しては、その無効をもって対抗すること ができない。」と規定しています。
宗教法人法24条の趣旨は、単位法人においては、境内建物、境内地及び財産目録に掲げる宝物は、宗教団体としての存立上宗教活動のうえで欠くことのできないものであり、その処分にあたっては信者その他の利害関係人に対して事前に、十分行為の趣旨を周知徹底せしめる必要があるため、公告等の手続きを怠った場合にはこれを無効として、不当な処分が行われることを防止しようという点にあります。