宗教法人の機関(代表役員・責任役員など)について、弁護士が解説

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宗教法人(寺院)の組織運営

宗教法人の機関

宗教法人の機関としては、通常の株主総会とは違った一面があります。
宗教法人に定められた機関について、以下、解説しました。

代表役員

代表役員とは、宗教法人の事務執行機関であり、宗教法人における代表する唯一の者です。

株式会社における代表取締役、一般社団法人における代表理事のような存在です。
代表役員の任期は、宗教法人法上、特に制限はなく、各宗教法人の実情に合った適切な期間を定めることになります。
代表役員は、責任役員会の決定に従って、その名前で法律行為(契約・登記手続き・行政への届出等)を行います。
代表役員と宗教法人との法律関係は、民法上の委任等に類する関係と考えられており、代表役員を通して行われた行為は、その権限の範囲内であれば、宗教法人に帰属します。

宗教法人には、3人以上の責任役員が置かれ、そのうち1人が代表役員とされています。

代表役員の選定方法は、規則によって定められますが、規則に定めがなければ、責任役員の互選によって定められます。

責任役員

責任役員とは、宗教法人の管理運営機関の1つで、必要常置機関であり宗教法人の事務に関し審議をする意思決定機関です。いうなれば、取締役会設置会社における平取締役のような存在です。

責任役員の法定数は3人以上となっていますが、被包括宗教法人の大部分が責任役員の定数を3人としているのが実態です。責任役員の選定方法は、規則記載事項とされています。

責任役員は。宗教法人の事務決定機関であり、その決定方法は規則で定めるところによりますが、規則に別段の定めがなければ、定数の過半数で決することになります。
規則変更、予算・決算、合併、任意解散などの重要事項については、「定数の3分の2以上の議決」、「他の議決・諮問機関(総代会や檀信徒総会等)の議決」、「包活宗教法人の同意」を要することなどを別段の定めとして、規則に盛り込まれることがあります。

代表役員および責任役員は、常に法令、規則、包括団体の規程等に従いながら事務を適切に運営していかなければなりません。これらに違反したときは、善管注意義務違反(民法644条)の責任を問われる事態になりかねません。

しかし、法令等に違反しない限り、宗教上の規約、規律、慣習、伝統を十分に考慮しなければならず、また、その権限は、あくまで世俗的事務に対する権限であり、宗教上の機能に対するいかなる支配権を含むものではないとさ されています(宗教法人法18条5項・6項)。

代務者

代務者とは、宗教法人の役員(代表役員・責任役員)が欠けた場合などに置かれる代行機関のことをいいます。
宗教法人法上、代務者を置かなければならない場合は、次の2つです。

①代表役員または貰任役員が死亡その他の事由によって欠けた場合において、速やかにその後任者を選ぶことができないとき。

②代表役員または資任役員が病気その他の事由によって3か月以上その職務を行うことができないとき。

代務者は、規則で定められた方法で選任されます。代務者の職務権限は、特に規則に制限がない限り、通常の代表役員・責任役員と同様です。

代務者は、臨時的機関のため、存置理由がなくなれば、当然退任することになります。

議決・諮問・監査等の機関

宗教法人法上、必置機関は、代表役員・責任役員のみですが、任意設置の機関として、議決・諮問・監査その他の機関を設置することができます。

例えば、総代・檀信徒総会等が議決ないしは諮問の機関にあたります。
議決の機関は、その決議に拘束力がある機関をいい、諮問の機関は、寺院の重要問題について意見を聴く機関で、その意思決定に拘束力はありません。
総代・檀信徒総会等が議決の機関であったときは、寺院規則の定めるところにより、寺院の重要事項(寺院規則変更・宗派院等)について、責任役員会の決議の他にその議決を経なければなりません。

監査の機関は、宗教法人の事務執行を監督する機関のことをいいます。宗教法人の場合、監事ということが多いようです。監査の機関の職務権限は、宗教法人の事務執行を監督することです。監査には、大きく分けて、会計監査(宗教法人の財産および収支の状況の監査)と事務監査(事務執行状況の監査)があります。


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