包括宗教団体(法人)と被包括法人の関係性は、法律上は、対等・平等の関係にあります。
しかし実際上は、教義の内容や布教の方法、儀式の執行などを統一する必要があることから、ほとんどの包括宗教団体(法人)は、宗制や宗憲などによりその被包括宗教法人を拘束する規定を置いています。
それでは、そのような被包括宗教法人を拘束する規定は有効なのでしょうか。
宗教法人法12条1項12号は、「第5号から前号までに掲げる事項について、他の宗教団体を制約し、又は他の宗教団体によって制約される事項を定めた場合には、その事項」を規則規定事項としています。
この規定のことを相互規定といいます。
相互規定の具体例として、代表役員が包括宗教団体(法人)の代表役員によって任命され、またその認証を受けるとか、財産処分や規則の変更にあたって包括宗教団体(法人)の代表役員の承認を必要とすることなどがあげられます。
相互規定は、包括宗教団体(法人)・被包括宗教法人の両方の規則に盛り込まれて初めて効力が発生します。
すなわち、包括宗教団体(法人)の規則中にのみ、被包括宗教法人を制約する旨の規定があったとしても、包括宗教団体(法人)は被包括宗教法人にかかる制約を主張することはできないのです。
一般的に、被包括の単位宗教法人は、規則に、「○○宗の規則及び規程のうち、この法人に関係のある事項に関する規定は、この規則に定めるもののほか、この法人についても、その効力を有する」との規定を盛り込んでいる場合が多いです。
そうした場合、包括宗教団体(法人)の宗制などで包括宗教法人を制約している規定は、すべて当該単位宗教法人に効力を及ぼすことになります。
宗派としての統一性を保つために被包括宗教法人を統制する必要がありますが、包括宗教団体(法人)と被包括宗教法人との関係は法律上は平等・対等です。
そこで、被包括宗教法人の同意のある限り、包括宗教団体(法人)は、被包括宗教法人に統制を及ぼすことができるとしたのが相互規定なのです。
上記のように、包括宗教団体(法人)・被包括宗教法人の両方の規則に盛り込まれることによってはじめて効力が生じるわけです。
このような規定になっていければ、包括法人は制約を主張できないですし、被包括法人は制約を受ける理由はありません。
宗教法人としては、相互規定になっているか確認し、適切な対応を取る必要があります。