墓埋法3条以下は、埋葬、火葬および改葬のルールを定めています。
埋葬または火葬は、原則として死亡または死産(妊娠7カ月以降の死産のときは、墓埋法に則って埋葬または火葬をしなければなりません)後24時間を経過した後に行われなければなりません。
墓埋法4条1項は、「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行ってはならない」と規定しています。
墓埋法4条1項に違反して墓地以外の区域に埋葬または焼骨の埋蔵をしたときは、1万円以上2万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処せられることになります。
墓地以外の区域に死体を埋葬または焼骨を埋蔵する行為は、墓埋法4条1項に違反するとともにその行為態様によっては刑法190条の死体遺棄罪に問われる場合があります。
刑法190条は、「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する」と死体損壊等罪を定めています。死体・遺骨を「遺棄」するとは、社会通念上埋葬と認められないような態様で放棄することをいいます。
たとえば、もっぱら妻の死体を悼む愛惜の気持によりなされたとしても、死体を自宅納戸の洋タンス内に入れ、これに目張りをするなどして隠匿する行為は、「遺棄」にあたるとされています(東京地八王子支判平成10・4・24判タ995号282 頁)。
それでは、最近増えている散骨(火葬した遺骨をさらにミリ単位に細かく砕き粉末状にして海や山にまく葬法)と墓埋法4条1項および死体損壊等罪との関係はどうでしょうか。
墓埋法4条1項は、遺骨の埋蔵は経営許可を受けた墓地で行うべきことについて定めているに過ぎず、骨灰をまくことについては規定していません。
この点について、平成の初頭に散骨が新しい葬法として脚光を浴びたとき、当時の厚生省は、「散骨は墓埋法の予想した葬法ではない」とのコメントを出しました。
「遺棄」とは社会通念上、宗教的感情を害するか否かによって決せられますので、当時の法務省は、「社会的習俗としての宗教的感情などを保護するのが目的だから葬送のための祭祀で節度をもって行われるかぎり問題はない」とのコメントを出しました。
埋葬、火葬または改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長や特別区の区長の許可を受けなければなりません(墓埋法5条1項)。
人が亡くなったとき、遺族は、死亡届とともに火葬許可申請を行い、市町村長から火葬許可証の交付を受けます。
この火葬許可証は、火葬のときのみならず、墳墓に納骨するときも必要となります(火葬場で許可証に火葬執行済の記載をしてもらい、納骨のときに墓地の管理者に提出します)。
改葬とは、「埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すこと」をいいます。
同じ寺院墓地内であったとしても、いったん墳墓から焼骨を取り出して別の墳墓に焼骨を移す場合は、改葬にあたります。
改葬の手続は、墓埋法施行規則2条に規定されており、具体的には以下の手順を踏むことになります。
改葬と類似の行為として、分骨があります。分骨とは、焼骨の一部を他の墳墓または納骨堂に移す行為のことをいいます。
分骨手続については、墓埋法施行規則5条に規定されています。
すなわち、現にある墳墓に加えて新たな墳墓を設ける場合等に焼骨の一部を移動する際は、従来、焼骨を埋蔵または収蔵していた墓地または納骨堂の管理者から埋蔵または収蔵に関する証明書(分骨証明書)の発行を受け、新たな墳墓のある墓地の管理者または新たに収蔵される納骨堂の管理者に分骨証明書を提出することになります。
改葬の場合は市町村長の許可が必要ですが、分骨は、焼骨の一部を移すだけなので、分骨においては市町村長の許可は不要です。
墓理法5条1項に反して許可を受けずに埋葬、火葬、改装を行ったときは1万円以上2万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処せられることになります。