宗教法人の合併その手続きを解説

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宗教法人(寺院)の組織運営

宗教法人と合併とは

合併とは、2つ以上の宗教法人が1つの宗教法人となることをいいます。

過疎化によって檀信徒の数が減ったりしたときや教義上の都合から複数の寺院を1つにまとめる必要性がでてきます。

そんなとき、複数の宗教法人をまとめる制度である合併があることで、その便宜を図ることができます。

合併には、吸収合併と新設合併の2つがあります。吸収合併とは、合併する宗教法人の一方が存続し、他方がこれに併合される場合をいいます。

新設合併とは、合併を行う両宗教法人が消滅して新たに別の宗教法人を創設する場合をいいます。

合併が成立すると、合併によって消滅した宗教法人がそれまで有していた権利や義務(所有権・地上権などの物権、貸金の返還を請求する権利などの債権や賃貸借契約の賃貸人などの契約上の地位、借金を返す義務などの債務、所轄庁の認可を受けて設置している幼稚園を引き続き運営するなど、宗教法人法6条の規定により行う事業に関して行政庁の許可、認可その他の処分に基づいて有する権利義務等)は、合併後存続する宗教法人に全て引き継がれることになります。

合併の手続

吸収合併、新設合併ともに合併を行うには、大まかにいって以下の手続を実施しなければなりません。

  1. 規則で定める合併手続の実施
  2. 合併しようとする旨の公告
  3. 財産目録および貸借対照表の作成
  4. 債権者に対する公告と催告
  5. 合併により被包括関係の設定または廃止をする場合の手続の実施
  6. 所轄庁に対する認証の申請
  7. 登記手続

規則で定める合併手続の実施

合併を行おうとする宗教法人は、規則の定めるところにより、その意思決定をしなければなりません。

規則に別段の定めのないときは、責任役員会において責任役員の定数の過半数の議決で決定されますが、合併は、極めて重大な宗教法人のあり方の変更ですから、通常は、規則で総代会の同意や包括宗教団体の承認が必要であるとされています

なお、吸収合併によって存続する宗教法人がその規則の変更を必要とする場合は、その存続する宗教法人の規則で定める変更手続を経たうえで所轄庁へ合併の認証申請に含めて認証を申請することになります。

あらかじめ合併しようとする宗教法人同士で合併契約書案を作成しておき、それを踏まえて責任役員会の議決等宗教法人内部において必要な手続を行いましょう。

合併契約書に盛り込むべき事項は、以下のようなものがあります。

合併しようとする旨の公告

宗教法人法は、「宗教法人は、合併しようとするときは…信者その他の利害関係人に対し、合併契約の案の要旨を示してその旨を公告しなければならない」としています。

新設合併は、合併によって1つの新しい宗教法人が設立されることになりますので、合併しようとする各宗教法人で選任された者は、共同して新しい規則を作成し、合併の認証申請を行う少なくとも2カ月前に信者その他の利害関係人に対して規則の案の要旨を示して、合併によって新宗教法人を設立しようとする旨を公告しなければなりません。

合併は、当該宗教法人の信者の信教の自由に強い影響を及ぼす事態ですので、公告を見た信者等の利害関係人から異議を申し立てられたときは、誠実に対応するようにしましょう。

財産目録および貸借対照表の作成

宗教法人法は、「合併しようとする宗教法人は、前項の規定による公告をした日から2週間以内に、財産目録及び第6条の規定による事業を行う場合にはその事業に係る貸借対照表を作成しなければならない」と規定しています。

財産目録の作成は、合併に伴う財産の整理のために行われます。公益事業や公益事業以外の事業を行う場合に貸借対照表の作成が要求される趣旨は、その事業の経理および運営状況を把握するためです。

債権者に対する公告と催告

合併しようとする宗教法人は、公告をした日から2週間以内に、それぞれの宗教法人の債権者に対して合併に異議があればその公告の日から2カ月を下らない一定の期間内にこれを申し述べるべき旨を公告するとともに、わかっている範囲の債権者に対しては、個別にその旨を催告しなければなりません。

これは、合併すると権利義務はすべて存続する宗教法人が引き継ぐため、合併当事者である宗教法人の債権者を保護するための規定です。

債権者が、公告・催告から2カ月以内に異議を申し述べたときは、当該宗教法人はその債権者に借金を返済するなど債務の弁済をし、もしくは、借金相当額の担保を提供するか、または、債務の弁済のために相当の財産を信託会社もしくは信託業務を営む銀行に信託しなければなりません。

ただし、債権者のために十分な被担保債権額を有する抵当権が設定されているなどの合併をしてもその債権者を害するおそれがないときは、弁済等を行う必要はありません。

合併により被包括関係の設定または廃止をする場合の手続の実施

合併しようとする宗教法人が、その合併に伴い被包括関係を設定し、または廃止しようとする場合には、合併の認証申請の少なくとも2カ月前に信者その他の利害関係人に対し、被包括関係の設定または廃止に関する規則の変更の要旨を示して、被包括関係を設定または廃止する公告を行います。

合併に際して新たに被包括関係を設定する場合は、被包括関係を設定しようとする宗教団体の承認が必要ですし、合併に際して被包括関係を廃止する場合は、被包括関係を廃止しようとする宗教団体に対してその通知を行わなければなりません。

被包括関係の設定または廃止に関する公告は、合併の公告と併せて行ってもよいとされています。

所轄庁に対する認証の申請

上記の手続を経た後、所轄庁に合併の認証を申請します。合併に伴い、被包括関係を設定し、または廃止しようとするときは、そのための手続を経たことを証する書類を提出する必要があります。


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