宗教法人の包括被包括関係の消滅について解説

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宗教法人(寺院)の組織運営

いったん包括宗教団体(法人)と包括被包括関係を結んだとしても、単位宗教法人としては信仰に対する考え方の相違から包括被包括関係を解消したいと考えることも出てくるでしょう。そのような場合、いつまでも包括・被包括関係に拘泥させてしまうと単位宗教法人の信教の自由を侵害しかねません。

現実には、後任住職に関する意向を宗派が聞き入れないなど人事に不満であるとか、懲戒処分を免れるためとか、相互規定によるしがらみが面倒くさいといった世俗的な理由で宗派離脱(包括被包括関係の消滅)をする場合が多いようです。

まずは、宗教法人の内部手続を行う

そこで、宗教法人法26条は、規則の変更によって包括・被包括関係を解消できることを定めています。
規則変更にあたっては、まず、規則の定めるところにより、責任役員会の議決などの内部手続を行います。

なお、宗派離脱に関して、宗務総長や宗務所長の承認が必要とするなどの宗派の介入を認めている規定があった場合、その規定は無効とされています。
すなわち、宗教法人法は、「宗教法人が当該宗教法人を包括する宗教団体との関係(以下「被包括関係」という。)を廃止しようとするときは、当該関係の廃止に係る規則の変更に関し当該宗教法人の規則中に当該宗教法人を包括する宗教団体が一定の権限を有する旨の定がある場合でも、その権限に関する規則の規定によることを要しないものとする」と規定しています。

宗務総長や宗務所長の承認は、まさしく、「当該宗教法人を包括する宗教団体が一定の権限を有する旨の定め」にあたります。

これは、憲法20条が保障する信教の自由の趣旨を徹底しようとしたもので、包括宗教団体(法人)が宗祖の教えと異なってしまったような場合に、被包括宗教法人がいつでも自由に包括宗教団体(法人)から脱することができるようにするためです。

その後の規則変更の手続き

内部手続を行った後は、規則の変更の承認の申請の少なくとも2カ月前に信者その他の利害関係人に対し規則の変更の案の要旨を示して、被包括関係を設定、廃止しようとする旨の公告をします。

それと同時に、包括宗教団体に対し被包括関係の廃止の通知を行います。この通知は、後日の証明のために内容証明郵便で行う必要があります。

廃止の通知を受けた包括宗教団体(法人)としては、規則変更手続が適正に行われているかどうかを調査し、手続が適正に行われていないと判断した場合は、その旨を宗派離脱しようとする単位宗教法人の所轄庁および文部科学大臣に通知することができます。

所轄庁は、包括宗教団体(法人)からの指摘に留意して遺漏のないように審査すべきですが、審査結果を包括宗教団体(法人)に通知することは要しないとされています。

公告をしたときから2カ月以上経過したときは、宗派離脱しようとする単位宗教法人は、規則変更の認証の申請を所轄庁に行います。

この場合、宗教法人の内部手続を経たことを証する書類の他、公告をしたこと、包括宗教団体(法人)に対し通知をしたことを証する書類も添付しなければなりません。

規則変更の認証の申請を受けた所轄庁は、以下のような事項を審査して、認証の可否を決します。

  1. 宗教法人法その他の法令の規定に適合しているか否か
  2. 所定の公告がなされたか否か
  3. 包括被包括関係廃止の通知が包括宗教団体になされているか

この規則変更による包括被包括関係の廃止は、他の規則変更と同様に認証書の交付によって効力が生じます

規則変更の認証書の交付を受けた後は、包括被包括関係を廃止した旨を登記しておきます(法52条2項4号)。登記をしておかないと第三者にその旨を対抗できません。


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