事業を行うにあたってまず必要なのは、各事業の関係法令に十分精通することのことです。すなわち、公益事業に関して、法令によって国や地方公共団体のほか、その公益事業を行うことを目的とする公益法人(学校法人、社会福祉法人等)にのみ許される場合が少なくありません。
また、収益事業を行うにあたっては、行政から各種許認可を得る必要がある場合が多いです。事業開始を検討するにあたっては、専門家に相談する、役所の担当者と密に連絡を取り合うなどして関係法令違反がないように気をつけましょう。
宗教法人法12条1項7号は、「第6条の規定による事業を行う場合には、その種類及び管理運営(同条第2項の規定による事業を行う場合には、収益処分の方法を含む。)に関する事項」を規則に盛り込まなければならないとしています。
したがって、設立時に事業を行っている団体は、その事業に関する必要事項を記載した規則の認証を受け、既に法人となっているところが新たに事業を開始したいときは、その事業に関する規則変更の認証を受けなければなりません。
事業を行うための規則ないしは規則変更の認証を行うにあたっては、宗教団体(宗教法人)内部の手続(責任役員会の議決、総代会の同意等)のほかに包括宗教団体の同意が必要となってる部分が多いです。
宗教法人が行う事業の種類は登記事項となっています。規則変更の認証が認められるかは、主たる事務所の所在地においては2週間以内に、従たる事務所の所在地においては3週間以内に、変更の登記をしなければなりません。そして、変更の登記が認められたときは、遅滞なくその事実を登記事項証明書を添えて所轄庁に届け出なければなりません。
宗教法人法79条1項は、「所轄庁は、宗教法人が行う公益事業以外の事業について第6条第2項の規定に違反する事実があると認めたときは、当該宗教法人に対し、1年以内の期間を限りその事業の停止を命ずることができる」と規定しています。6条2項の規定に違反する事実があると認めたときとは、
①目的に反する種類の事業(たとえば、風俗営業等)もしくは目的を逸脱するほどの規模を持った事業を行ったり
②または適当な事業であっても、その収益を所定の使途に使用していない事実(たとえば、収益を檀信徒に分配する等)があると認められるときのことを指します。
宗教法人が公益事業以外の事業を行うことを認められたのは、宗教活動・公益事業の財産的基盤を確保するためですから、上記のような場合には停止命令が出されてもやむを得ないでしょう。
平成7年の宗教法人法改正によって設けられた宗教法人法78条の2によって、宗教法人の行う公益事業以外の事業について、宗教法人法6条2項の規定に違反する事実があるとの疑いをもつときは、所轄庁はあらかじめ宗教法人審議会の意見を聞いたうえで当該法人に報告を求め、質問することができます。
所轄庁は、事業の停止を命じようとするときは、あらかじめ、その宗教法人に対して、相当の期間を定めて、弁明の機会を与えなければなりません(行政手続法13条、29条ないし31条)。
弁明の機会の付与は、行政手続法29条によれば弁明書を提出して行うことになっていますが、宗教法人法79条3項は、原則として口頭で行うことを認めなければならないとしています。
口頭で弁明が行われる場合、助言者・弁護人等として随伴してきた者に対しても意見を述べる機会を与えなければなりません(法82条)。
事業の停止の命令がなされるときは、その理由および事業の停止を命ずる期間を附記した書面で当該宗教法人に通知して行われます(法79条2項)。事業停止命令に反して事業を行ったときは、当該宗教法人の代表役員等10万円以下の過料に処せられます(法88条11号)。
事業停止命令に対しては、行政不服審査法に従って審査請求ができます。請求期間は処分があったことを知った日の翌日から起算して3カ月以内です。
裁決にあたっては、期間徒過で却下される場合を除いてあらかじめ宗教法人審議会に諮問した後に行われなければなりません(法80条の2第1項)。審査請求がなされてから4ヵ月以内に裁決がなされなければなりません(法80条の2第2項)。