最近、墓じまい問題についてしばしば報道がなされています。
墓じまいとは、 墓地使用者が、遠方に住んでいるなどの理由から、墳墓の管理が困難となった場合、墳墓に納められている遺骨を取り出し、墓石を処分するなどして墓所を整理し、墓地区画を寺院や霊園に返却することをいいます。
墓じまいをしたときは、遺骨を現在ある墳墓から別の墳墓または納骨堂に移すことになります。
その場合、墓埋法上、改葬にあたり、市町村の許可が必要となります(墓埋法5条1項)。なお、遺骨を墳墓や納骨堂に触れず、手元供養する場合は、改葬ではないので、市町村長の許可は必要ありません。
墓地使用者が、市町村長に改葬許可を申請するにあたっては、墓地管理者の埋蔵の事実を証明する書面(埋蔵証明書)の提出が求められています(墓地、埋葬等 に関する法律施行規則2条2項1号)。
埋蔵証明書の発行をめぐって、寺院と墓じまいをする人との間でトラブルが起きています。それが、後に述べる離檀料の問題です。
墓じまいに関して、寺院にとって気をつけておくべきことは、次の3つが考えられます。
墓じまいをすると、先祖代々の墓を撤去して、遺骨を墳墓から取り出して別の場所に移すことになりますので、親族間でのトラブルになりかねません。
寺院と しては、トラブルに巻き込まれないためにも、墓じまいをしようとする者が墓地 使用者(祭祀承継者)なのか、墓じまいについて親族間でコンセンサスが取れているのかについて注意を払っていくべきです。
墓地使用者(祭祀承継者)をはっきりと確定させるために、墓地使用者名簿を整えたり、墓地承継の場合は、相続人連名の墓地承継届を提出させるなどしておくべきです。
離檀料とは、一般に、改葬などで離檀をする際に、それまでの菩提寺にわたす 布施のことを言います。
墓じまいをするにあたって、菩提寺から数百万円の離檀 料の請求がなされてトラブルとなったというケースがマスコミによって頻繁に報 道されています。
寺院が高額の離檀料を請求するのは、檀家数の減少で、寺院運営が厳しくなっていることが背景にあるのではないかと思います。
離檀料とは、 本質的には、布施・寄進にあたりますので、墓地使用契約に離檀料の規定がありません。
檀家から自発的な支払いがない限り、取り立てることはできません。
改葬許可申請に必要な埋蔵証明書の発行権限があるために、それを背景に離檀料の請求をし、墓じまいをする者は、埋蔵証明書の発行を受けるために仕方なく 払わざるを得ないという構図が見えます。
支払義務がない離檀料を支払わなければ埋蔵証明書を発行しないという行為は、場合によっては、不法行為となって寺院が損害賠償責任を負いかねませんので、ご注意ください。
墓じまいの典礼をするときに、数万円程度のお布施をもらえれば、それで良しとする気持でいたほうがよいでしょう。
墓じまいに伴って、墓地使用者より永代使用料の返還を求められることがあります。
永代供養料を返還する必要性があるか否かは、墓地使用契約・墓地使用規則の規定に従いますが、京都地判平成19・6・29裁判所ウェブサイトが、永代使料は、墓地使用の対価ではなく、墓地使用権設定の対価であり、返還の必要はないと判示していることが参考になります。