宗教法人の行為が消費税の課税対象になるのかにつき弁護士が解説

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消費税の課税対象

宗教法人も事業を行う事業者であり、事業として対価を得て物品の販売など資産の譲渡などを行えば、一般の事業者と同様、納税義務者となります。

「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡および貸付け並びに役務 の提供が反復、継続、独立して行われることをいいます。

個人事業者が生活の用に供している資産を譲渡する場合の当該譲渡は、「事業として」には該当しませんが、法人が行う資産の譲渡および貸付け並びに役務の提供は、そのすべてが、「事業として」に該当します。

「対価を得て」とは、資産の譲渡および貸付け並びに役務の提供に対して反対 給付を受けることをいい、無償による資産の譲渡および貸付け並びに役務の提供は、資産の譲渡等に該当しません。

反対給付を受けていれば、たとえそれが低額であったとしても、「対価を得て」に該当します。寺院と消費税をめぐる問題は、この「対価を得て」の要件に絡むことが多いのです。

消費税の課税対象となるかどうかの判断基準は、その事業が収益事業となるかどうかの区分ではなく、事業として対価を得て資産の譲渡等が行われているかどうかであるということになりますので、この点、ご注意ください。

たとえば、宝物館などの観覧料は非収益事業ですが、消費税では課税対象となります。

それでは、消費税の課税要件である資産の譲渡等とは、具体的にはどのような ことを意味するのでしょうか(なお、課税要件には、保税地域からの外国貨物の引取りもありますが、寺院が外国との取引をすることは限定的であるため、ここでは省略します)。

課税要件の「資産の譲渡等」とは、資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供の3つをいいます。

資産の譲渡とは、資産につきその同一性を保持しつつ、他人に移転させることを言います。

資産の貸付けとは、資産に係る権利の設定その他他の者に資産を使用させる一 切の行為です。たとえば、土地に係る地上権もしくは地役権、特許権等の工業所有権に係る実 施権もしくは使用権または著作物に係る出版権の設定などがそれにあたります (消費税基本通達5-4-1)。

役務の提供とは、土木工事、修繕、運送、保管、印刷、広告、仲介、興行、宿 泊、飲食、技術援助、情報の提供、便益、出演、著述その他のサービスを提供す ることをいいます(消費税基本通達5-5-1)。

消費税が課税されない取引

消費税が課税されない取引として、非課税取引・免税取引・不課税取引の3つ があります。

非課税取引

資産の譲渡等が行われたとしても、消費税の性格から課税することになじまないもの(土地の譲渡・貸付け、有価証券の譲渡、利子、保証料、保険料など)、2社会政策的配慮に基づくもの(埋葬料、火葬料、学校の授業料、入学検定料、住宅の貸付けなど)は、非課税とされています(消費税法6条、同法別表1)。

免税取引

国内からの輸出として行われる資産の譲渡等、外国貨物の譲渡等、国際輸送・ 通信等および輸出物品販売場における輸出物品の譲渡については、手続をするこ とで消費税の課税を免れることができます(消費税法7条、8条)。

不課税取引

資産の譲渡等に該当しない取引、国外において行う取引等、課税要件のいずれ。 かもしくは全部が欠ける取引のことをいいます。

寺院活動と消費税

寺院の行う活動のうち、消費税課税の有無が問題となるものについて解説していきます。

戒名料・お布施など

葬儀・法要等の宗教儀式に伴って戒名料やお布施などが支払われますが、それ らは、あくまで喜捨として行われるものであり、対価性がないため、「対価を得 て」の要件を満たさず、消費税が課税されることはありません。

お札・お守り・おみくじ

法人税基本通達15-1-10は、「宗教法人におけるお守り、お札、おみくじ等の 販売のように、その売価と仕入原価との関係から見てその差額が通常の物品販売業における売買利潤ではなく実質は喜捨金と認められる場合のその販売は、物品 販売業に該当しないものとする」としていることから、お守り、お札、おみくじ の販売益が、通常の物品販売業の売買利潤ではなく、実質は喜捨金と認められる 程度であるときは、「対価を得て」の要件を満たさず、消費税が課税されること はありません。

拝観料、宿坊代、宝物館の入場料

拝観料については、喜捨の性質があり、「対価を得て」の要件を欠き、消費税は課税されません。宿坊代については、法人税基本通達15-1 – 42規定の低廉な宿泊施設に該当しないとき(素泊まり1泊1000円または1泊2食付1500円をそれぞれ超える金額を取っているとき)は、「対価を得て」いることになり、消費税の課税対象となります。

寺院付属の宝物館の入場料については、喜捨の性質があるとはいえませんので、 消費税が課税されることになります。

墳墓地の永代使用料

墳墓地の永代使用料は、土地使用の対価とはいえ、非課税取引となります(消費税法6条1項、同法別表1)。


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