宗教法人の事業承継(事業譲渡)の方法について

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宗教法人(寺院)の組織運営

宗教法人の法的性質

宗教法人は、「宗教団体」が礼拝施設等の財産を所有、維持運用し、 その他宗教的な目的達成のための業務・事業を運営することに資する ために、当該団体に法人格が与えられたものです。

したがって、団体を結成してすぐに宗教法人となる、ということは想定されていません。法人になる前から、宗教上の教義をひろめ、儀式行事等を行い、信者を教化育成することを主目的に活動している団体として存在していることを前提としています。

また、会社などと違い、法律上、団体の構成員としての出資者の存在も予定されていません。あくまで、宗教上の儀式行事等の宗教活動を行うことを主目的として存在する非営利団体といえます。

そして、宗教は信者の一生に関わるものであり、宗教活動を行う団体としての宗教法人は信者の一生に渡って存続し活動していくことが 期待されます。

同じ人間が永続的に宗教法人を運営していくことは不可能である以上、宗教法人において事業承継は当然に行われるべきものと言えます。

宗教法人の基本的な構成・構成員

宗教活動を行う団体ということから、宗教法人には宗教活動を行うのにふさわしい構成員・組織が求められることになりますが、憲法で信教の自由が保障されていることから、法律上は宗教法人の宗教活動 の内容にかかる規制、制限等は定められていません。

団体の組織としては3名以上の責任役員(うち1人が法人を代表する 代表役員)を置くことのほかは、団体内部のルール等を記載した規則を作成しておくことが求められています。信者・檀家など それ以外の関係者は宗教法人の構成員としては求められていません。

宗教法人は宗教活動を行う団体として礼拝施設などの施設を所有す ることが当然に想定されていますが、それらの施設の取得に必要な資金調達のために株式会社における株主のような出資者を募ることは想定されておらず、法制度上、出資者としての法人の構成員は求められていません。

したがって、宗教法人の事業承継は、原則として、自ら定めたルー ルである規則と宗教法人法の定める手続に従い、法人を一つのまとま りとして承継する方法(合併)か代表者を引き継ぐ方法(役員交代) のいずれかにより行われることになります。

墓地の経営主体としての宗教法人

宗教法人は墓地の経営主体として大きな役割を担っています。

墓地、埋葬等に関する法律により、埋葬や焼骨の埋蔵は墓地以外の区域で行うことができず、墓地や納骨堂などの経営は都道府県知事の許可を受けた者でなければ行うことができないとされています。

この都道府県知事からの許可を受けられる者について、地方公共団体が原則であり、そうでなければ宗教法人か公益法人等に限られるべきとされています。

都道府県においても条例等で墓地の経営主体を地方公共団体・宗教法人・公益法人に限定しています。このような事情から、墓地を経営している宗教法人は多数存在して おり、そのような宗教法人には墓地の経営主体という面があります。

墓地は、墓地の「永代使用権」といった言葉からもわかるように、 通常は、一族が何代にも渡ってその場所で維持・関与していくものです。

そのため、墓地の経営を行っている宗教法人は、墓地の存在する 地域において、永続的に存続・運営されることが求められます。この点からも、宗教法人には事業承継が必要となることがわかります。


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