墓地使用料(永代供養料)と墓地を返還した場合の法律関係

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永代使用(供養)料を返還する必要ある?

寺院が墓地使用者に墓地使用を認めるにあたっては、永代使用(供養)料が授受されるのが通例ですが、墓地使用者が墓地使用をやめて寺院に墓地区画を返還する(中途解約)と述べてきたときは、寺院は、墓地使用者に対し、永代供養料を返還する必要が出てくるのでしょうか。

裁判例では、原告の父親が宗教法人(寺院)との間で墓地使用契約を締結し、墓地使用料として65万円を支払っていたところ、父親の相続人として、墓地使用契約を解約するとの申入れをしたうえで、不当利得返還請求権に基づき、墓地使用料65万円の返還を求めたというものです。

墓地使用規則の規定

墓地の使用規則には、次のことが規定されていますが、墓地の使用期間についての規定および本件墓地使用料の返還についての規定はありませんでした。

  1. 墓地は寺院の檀徒が使用する
  2. 新規の使用者は墓地使用料を志納しなければならない
  3. 墓地の使用権は、使用者の相続人以外の第三者には原則として譲渡することができない
  4. 墓地相続者または寺院から墓地使用者と認められた者は寺院に墓地使用承継届けを提出する
  5. 檀徒でなくなった場合は、原則として墓地を返還する
  6. 墓地管理費を5年以上滞納したときは墓地使用権を取り消し、寺院は無縁墓地として処理することができる

上記墓地使用規則の内容から、裁判所は、墓地使用契約の法的性質について、「本件墓地使用契約は、墓地の使用期間の定めはなく、使用者の死亡にかかわらず…祭祀承継者に引き続き墓地の使用を許諾するものであるから、賃借権又は使用借権のように一定期間の使用権を設定するものではなく、永続的ないし永代的な使用権を設定するものということができる」と判示しました。

この本件墓地使用契約の法的性質を踏まえて、裁判所は、墓地使用料の法的性質について、「本件墓地使用料は使用開始時に一括払いが予定されていること……及び本件墓地使用規則には本件墓地使用料の返還についての規定はないことを考慮すれば、本件墓地使用料は使用期間に対応した使用の対価とはいえず、墓地使用権の設定に対する対価と解するのが相当である」としました。

そのうえで、「本件墓地使用契約の本質は墓地使用権設定契約であり、本件墓地使用料の支払いによって契約当事者の双方の債務は履行済みである。したがって、本件墓地使用契約の解約を申し入れ、爾後墓地を使用しないこととなっても、それは墓地使用権の放棄であって、支払済みの本件墓地使用料の全部又は一部について不当利得返還請求権が発生するとはいえない」として墓地使用料の返還を認めませんでした。

墓地使用規則の重要性

この裁判例からいえば、墓地使用料(永代供養料)は、墓地使用権の設定の対価であり、使用期間に対応した使用の対価ではないことから、中途解約がなされたとしても、返還する必要はないようです。

ただ、裁判例が墓地使用権を設定の対価と判断したのは、墓地規則に使用開始時に一括払いをする必要があることおよび墓地使用料の返還についての規定がないことを踏まえてのものであり、この点、墓地使用料(永代供養料)を返還する必要があるか否かは墓地規則によってケースバイケースであるといえるでしょう。

墓地規則を規定していない寺院墓地も多々見受けられますが、紛争の未然予防および紛争が発生したときの解決規範を設けるためには、墓地規則を必ず制定しておきましょう。


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